日本磨き合い通心6月号「生活を支える界面活性剤」
6月、梅雨入りはしてないかもですが、鬱陶しい気分になりますね。
しかし、植物にとっては喜んでいるので良しとしましょう。
さて、私たち清掃業にとって界面活性剤はとても重要な物質ですが、日常生活の中でも今や重要な物質なので、けっして悪者扱いはしないで下さい。
古代ローマ時代、洗濯物が白く仕上がるとして「不思議な土」と呼ばれ、
サポーの丘で発見されたものです。
その後8世紀にはシャボン作り職人がオリーブ油と海藻を中心として製造し、17世紀ごろには利権商品としての地位を築きました。
しかし、界面活性剤の開発は20世紀に入ってからで、第一次世界大戦のドイツから始まったと言われています。
界面活性剤の工業化が進み、
今やその需要分野は、
・繊維15%
(染色、柔軟剤、撥水剤他多数)
で、最も多く、さすが界面活性剤の育ての親といえます。
次に
・香粧医療11.5%
(ファンデーション化粧水、レントゲンの造影剤など)
・ゴムプラスチック11%
(帯電防止剤として練り込むなど)
・ 土木建築10%
(コンクリートセメントの混和剤)
そして、界面活性剤工業10%、エネルギー関連、生活関連、紙パルプ、食品、環境保全、農薬などなどにも使われています。
食品はチョコレートや牛乳、パン、豆腐など多数です。
このように、今や3,000〜4,000種類と言われ、日々新しい界面活性剤が作られています。
天然物や天然物由来の界面活性剤物質を加えるとどれだけになるのか分からないと言われています。
では、界面活性剤とは何者なのか。
「界面」とは、技術用語で物質の境界の事です。
気体・液体・固体の中で、液体と液体では水と油は混ざらない境界面があります。
同じように液体と気体、気体と固体、固体と固体、固体と液体の全5種で、気体には境界がないので毒ガスを防ぐのは難しいのです。
「活性」とは、物質の原子、分子がエネルギーの高い状態にあって、化学反応を起こしやすくなっていること。
「剤」 とは、各種の薬を調合したもの
ということで、界面活性剤とは
「混じり合わない物質同士の境界を高分子エネルギーによって仲良くさせるための薬」
と、言えると思います。
簡単に言えば、混ざり合わない物の間に入り混んで仲良くさせる物質、と言えます。
(某国と某国の間に入り込める国はないものか)
半導体の製造にも欠かせない界面活性剤。
しかし、環境負荷が高いのも事実で、その安全性をどのような形で担保させるのか。
その製造からのプロセスはリスクアセスメントが重要になり、21世紀に入り急激に改善されてきています。
生物が作る界面活性剤もあり、今後はどのような未来を界面活性剤はつくるのでしょう。
私たち清掃業者はこうした未来をつくるための仕事をしていることになります。
大いなる自負を持って取り組みたいものです。