日本磨き合い通心11月号「油汚れ、食用油、油脂について」

今年もあと2ヶ月を切り、私たち清掃業界は繁忙期を迎えることになりました。準備万端お済みでしょうか。


8月号で汚れ状況は「アタックする素材から」としましたが、とは言っても汚れの事を知らない訳にはいきません。


今回は汚れの代表格酸化物であるキッチンの油汚れ、食用油、油脂について考えてみたいと思います。

ベタベタしてなかなか処理に困るものですね。

キッチンは埃と水と油が混じっていて、油は特に家庭の中でも困りものです。

油脂は器壁につくだけではなく、粘着性ですから埃が吸い寄せられるようにして付着します。

こうした油汚れは時間が経つにつれて酸化されて個体になり落ちにくくなってしまいます。

通常は重曹と食器用の洗剤を熱湯に溶かして掃除をすると取れやすくなります。
石油類は炭化水素であり基本的に炭素と水素だけの単位構造です。

それに対し食用油、油脂は脂肪酸という酸とグリセリンというアルコールが結合したものでエステルの1種です。

油脂にはいろいろな種類があるのは

脂肪酸の構造が異なるためです。

不飽和脂肪酸は酸化されやすい性質があるので液体だった油脂が固体になります。(油絵の元で顔料を混ぜて固着させる)


図を見ていただきますとわかりますが、オメガ3系は最も酸化が速く分解もしにくくなります。

魚の油が落ちにくいのは、アマニ油などと同じオメガ3系に属し、酸化が最も早く酸化脂質が生成されて特に落としにくい頑固な油汚れになります。

それを落としやすくするのが温水と

リパーゼを含む酵素系洗剤もしくは

重曹と酢のコンビです。

試してみてください。
基本的には飽和脂肪酸の油は不飽和脂肪酸の油よりも落としやすいです。

不飽和脂肪酸は酸化しやすく、粘度が高くなって落としにくくなります。

ここで健康のこと

不飽和脂肪酸である亜麻仁油や魚などは、酸化が早いという事で体に悪影響を及ぼすことがあります。

酸化が進むと、過酸化脂質が出て細胞やDNAにダメージを与える可能性があるので酸化ストレスや炎症を引き起こして健康に影響を与えます。

しかし重要な栄養素なので、冷暗所に保管してできるだけ早く使い切ることです。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のどちらが健康に良いかと言うと、飽和脂肪酸は高血圧、コレステロール値を上げます。

バターや肉、魚の赤身ですね。

不飽和脂肪酸は心臓の健康に良くて血液中のコレステロール値を下げるので、オリーブオイルなどは良いと言うことになります。

実はどちらが健康に良いというよりも、食事のバランスと全体的な健康状態に依存していると言うことになります。
現代社会ではオメガ3系を取らなくなったから魚をと言う話もあるのですが、注意してください。

あくまでも食事のバランスです。

ということで、油の中でも魚の油汚れが落としにくいので調べてみました。

参考までに。