日本磨き合い通心3月号「廃液処理の現実的な運用方法」

梅から桜へと季節は移りますが、風の強い日もあり、安定しませんね。

夏の暑さも頭を過ぎ始める頃ではないでしょうか。

 

 さて、我々清掃業者(ハウスクリーニング業者を含)の清掃形態は多種多様であり、
さらにそこから発生する廃液は、
剥離廃液、床洗浄廃液、カーペット洗浄廃液、エアコンクリーニング廃液、
レンジフード等の油脂混合廃液、浴室の皮脂、石鹸カスを含む廃液、
トイレの酸性洗剤を含む廃液など、多岐にわたります。

これらは性状によっては産業廃棄物に該当し、
適切に処理しなければ、環境汚染や行政指導の対象となります。

しかし、現場では「全量持ち帰り」や「中和処理」を行うことが
物理的・時間的に困難なケースが多いのが実情です。

そこで重要になるのが、現実的に実行可能で、かつ環境基準を満たす運用方法となります。

清掃業者が行政指導、行政処分を受けるケースは実際に多数存在しています。
ハウスクリーニング業者でも、レンジフードを例にしますが
廃液など不適切に処理すると行政指導の対象になります。

行政側の判断基準が、一般家庭のレンジフード、
清掃業者(事業者)が業務として分解洗浄した場合に出る廃液は、産業廃棄物になる。

つまり、住人がいる一般家庭であっても、
業者が作業した場合は「家庭系」ではなく「事業系」扱いになります。

誰の活動によって出たかで、住民が自分で掃除した場合は、家庭型一般廃棄物になりますが、
事業者が業務として掃除した場合は、事業活動に伴う廃棄物=産業廃棄物となり、
たとえ住人の家の中で作業しても誰の活動によって出たかによって廃棄物の区分が決まります。

自治体によっては『レンジフード洗浄廃液は産廃として処理するように』と明確に指導しているところもあります。

レンジフード廃液は「持ち帰り」が基本で、
現場では、バットやバケツに貯めた洗浄液をフィルターで固液分離、油塊や固形物を回収し、
廃液を密閉容器に入れて持ち帰る。

これにより環境負荷を最小限に抑えつつ、法令遵守が可能になります。

もちろん、空室クリーニングから出た洗剤廃液も事業活動によって出ていますから産廃になります。

では、トイレや浴室の場合はどうなるのか。

トイレ、浴室清掃の廃液は廃液量が多いし、phが大きく変動する。固形物が混ざる。
住居設備を使うため完全回収が不可能。

構造上全量回収することはできない。
しかし、下水にそのまま流して良い、という意味にはならない。

というのが、法律と実務の両面での答えになります。

では、どう処理すべきか?

自治体の一般的な指導方針に照らして現実的な落としどころをまとめてみました。

トイレ・浴室の廃液は、全量の持ち帰りは現実的でない。(これは行政も理解している) 

 ただし、phが大きく外れる廃液はそのまま流せないので、
水で充分希釈(たっぷりと流す)して、5.8~8.6中性域に近くする。

現場で中和剤を使う事は、危険性が高く、作業者の教育コストも大きくなります。

そのため、現実的には「大量の水で希釈し、基準値に近づける」ことが最も安全で実行しやすい方法でしょう。

固形物(髪の毛・尿石の破片・油塊など)は持ち帰る。

危険な混合は避ける。(酸・アルカリ・塩素の混合は絶対にしない)

さらに洗剤の使用量を最小限にすることによって、廃液の性状が穏やかになります。

清掃業者が現実的に環境基準を守りながら廃液を処理するには、

「性状の理解」・「希釈」・「固形物回収」・「レンジフード廃液の持ち帰り」・「スタッフ教育」

の5つが柱となり、これらは特別な設備を必要とせず、
日常業務の中で無理なく実行できるものと思います。

法令遵守と環境保全を両立するためには、
現場で再現可能な運用を積み重ねることが最も重要であると思います。

「日本磨き合い通心」とは
『日本を磨く会』が会員様向け(主に清掃業者様向け)に毎月発行している会報です。

弊社では、毎月原稿を協力しております。

ご興味のある方は、日本を磨く会HPをご覧下さい。