日本磨き合い通心2月号「農業について」
東京では最も寒い頃です。
とはいえ、最近は本当に暖かいです。
この天候が農産物に大きな変化を与え野菜の高騰を招いているのは事実だと思います。
夏が長すぎて、種が蒔けない、気温が急に低くなり育たない、などなど種をまく時期、苗の植え替えなどに支障をきたしてしまうのでしょう。
この高値は4月位までは続くのではないかと思っています。
ところで、この農業のことで、以前
化学肥料や農薬が自然環境に影響を与えていると記したことがありました。
他の記事にも同じような内容を載せたことがありましたが、そこから様々な
ご意見をいただきました。
そこで有機農業や無農薬農業が現在主流の農業慣行農業より優れているとかを謳ったわけでは無いのですが、
誤解を受けましたので、改めて農業について触れてみました。
家庭菜園をされてる方に多いのですが、「土作りは堆肥から」と言って化学肥料は害であるといいます。
果たしてそうなのでしょうか。
「堆肥」といっても
ホームセンターに並んだものは全部いいの?
自宅で作るものが最善なのか?
微生物が元気になると言うが、
何をもって判断するのでしょう。
化学肥料を使い続けると、土の中の生き物が死んで土が死ぬと言いますが、化学肥料を適切に使用すればミミズも育ちます。
産業革命以降の人口が8倍と爆発的に増加していますが、それを支えたのがまだ180年の歴史しかない化学肥料と農薬と機械技術の進歩である事は間違いありません。
なぜなら、生産面積が停滞する一方で、生産量の増加が続いていることでも分かります。
1940年代から60年代に品種改良を含む技術革新が食料増産を可能にさせました。
それが「緑の革命」と呼ばれているものです。
緑の革命は貧富の拡大につながりましたが、今は持続可能な技術転換が行われています。
それより問題なのが、化学肥料の原材料であるリンやカリウムを含む鉱石が一部の国にしかないことと、採掘により枯渇することではないでしょうか。
また窒素をつくるためのアンモニア合成にも問題があります。
わが国は、化学肥料の原料を輸入に頼っています。
という事は、わが国の食料自給率を考えた場合に38%と言われている自給率は、飼料含めた農産物の生産材料を輸入に頼っていますので、私は実質的に10%を切っているのではないかと思っています。
確かに今は環境負荷の高い農薬や肥料があるのは事実です。
有機農業が食物の安全性を担保しているかもしれないが、生産の安定は担保していない。
安定した食料の生産と、誰もが食卓に出される安全な食べ物のために農業の多様性を認めるべきであろうと思います。
地球のこの土の厚さは、人間に例えたら人間の皮膚より薄い層です。
つまり、図にしてみても書けない薄い膜である。
それが植物が育ち、それを餌とする微生物、動物、そして人間の食料や生活物資の多くがこの土から生産されている。
その土は環境が生産し変化し続けている。
現在のように人間活動が自然環境を改変するほど大きくなると、自然環境は元には戻れない。
それを防ぐためにも持続可能な農業が必要であり、養分をうまく循環させる農法など自然環境に過度に働きかけることなく、農地を適切に管理するのは人間の役割でしょう。
有機農法は労働の集約率が高くなり普及率は0.5%です。
慣行農業は環境への負荷が出やすいと言う欠点をか抱えているのも事実です。
しかし、何か方法が必ずあるはずです。私達、国民が食について真剣に考える時であると思います。