日本磨き合い通心3月号「日本の森林について」
今年も3月に入り移動の時期と年度末で忙しくされていると思います。
私はこの時期になると、梅だ!桜だ!と忙しくなります。
さて、先日2010年のCOP 10のスクラップ記事(東京新聞)の記事を見つけて、生物多様性条約のことを思い出しました。
京都議定書の気候変動枠組条約と並び環境に関する大きな2つの条約が固まった年でした。
地球上の生物種の80%が森林で暮らしていると言われています。
しかし、世界的に見れば森林の減少が進んでいます。
二酸化炭素の吸収をしてくれる環境が破壊されています。
日本の森林は、国土の67%ありフィンランドについで世界有数の森林大国です。
フィンランドは針葉樹林で木材産業が盛んであり、
持続可能な管理がされており、環境保護と経済活動のバランスをとっています。
一方、日本の森林は温帯林から亜熱帯林まで様々なタイプの森林が存在します。
水源の保護、生物多様性の保全に重要な役割をしています。
今回は、生物多様性を維持するための環境問題については離れますが、
先日林業家とお会いしお話を聞く機会がありましたので、そのことも踏まえて日本の林業を考えたいと思います。
皆さんもご存知の通り「森は海の恋人」「川は仲人」などと言われ、海の幸は森が提供しています。
森は虫や微生物などと一緒に水を浄化します。
しかし、日本の林業は今や困難な状況にあります。
1960年頃までは林業家は山持ち、金持ちと言われましたが、
東京五輪の前から一次産業から二次、三次産業に国策で急ハンドルを切り、
1964年に木材の完全輸入自由化をしたために、
インフラ整備や後々の産業政策がないまま推し進めたため、
1975年までの木材自給率が50%から現在は20%まで落ちてしまいました。
安い輸入木材に押され、60年前の価格と変わらないそうです。
杉の木50年物でも経費を差し引くと
1本あたり700円から1000円程度になってしまうそうです。
これでは担い手は生活できず他産業へ移動します。
水は農地やレアメタルと並ぶ貴重な天然資源だとされています。
日本の森林に関する法律は非常に希薄で、
日本国内の水源近くの山林が外資に買収されていたり、
山林所有の境界が曖昧だったり(はっきりしているのは50%位との事、驚きです)
農地の規制法と比較になりません。
日本の森林は原生林と呼べるものはほとんどなく、
人の手が入った事のある天然生林と森林面積の40%を占める人工林です。
しかし間伐などの手がないために森林は疲弊してきています。
間伐をしなければ、森に陽が入らず、低木も育たず、土がむき出しになり、
水は浄化されずに流れるだけでなく、保水能力も落ちて自然災害を大きくさせてしまう原因にもなっています。
森林の役割に
①二酸化炭素の吸収
②生物多様性の保護
③水資源の保全
といった役割があります。
それを維持するためには、持続可能な森林管理と保護の設定、
再植林と言ったことが必要になりますが、
現在の日本は森林の荒廃が進んでいて、国家プロジェクトで進めなければなりません。
「割り箸」から誤った林業への偏見、
「リゾート法」よる森林や農地の荒廃などのないようにしなければなりません。
人間は森林や自然がなくなれば、生きていく事は出来ません。
だから使う分を作り出した人工林を育み、
森林と自然を保護するには、そのままの状態にしておくことではなく、
病害虫や山崩れ海岸の侵食を防ぐ活動や自然を回復させることなど、
森林の持っている大きな価値によって、人間は生かされているという事をもっと身近に知るべき事であると思いました。