日本磨き合い通心2月号「地球調和型クリーニング 調律ハウスケア」

 もう2月に入り、最も寒く気候も安定しませんが、
蝋梅から梅へとさらに様々な花が咲き始めるので楽しくなります。

 さて昨年12月号に『調律ハウスケア』という考え方を載せましたが、
これを深掘りしてみたいと思います。

私たちが一般に「掃除」と呼んでいる行為は、
単に汚れを取り除き、見た目をきれいにする作業として理解されてきました。

強い洗剤で汚れを分解し、
殺菌して短時間で新品のような状態に戻すことが評価されてきました。

しかし、この方法は、素材の劣化を早め、化学物質への依存を深め、
人の体や環境に見えない負荷を蓄積させてきました。

「化学物質過敏症」の発生や空気質の悪化、建材の短命化はその象徴でしょう。

調律ハウスケアは、この従来型の掃除観から根本的に離れます。

掃除を「破壊」や「制圧」ではなく、「回復」と「調和」の技術として捉え直す考え方です。

空間は単なる物体の集合ではなく、
空気、水分、温度、微生物、人の動線、
光や音といった多様な要素が相互に影響し合いながら成立している"場"です。

その場が乱れた結果として、
汚れ、良い、カビ、べたつきといった現象が現れます。

汚れとは敵ではなく、環境のズレを知らせる情報と考えます。

 調律ハウスケアにおいて最初に行うべき事は、
落とすことではなく「読むこと」です。

汚れのつき方、層の重なり、触感、匂い、位置関係から、
空気の流れや湿度の偏り、人の使い方、素材の癖を読み取る。

現場は常に一回性であり、マニュアル通りの処理は存在しません。

人間の手触り感覚、温度感覚、嗅覚といった人体センサーは、
最も精度の高い測定器であり、
これを鈍らせる過剰な化学臭や防護依存から距離を取ることが大切になります。

 次に重視されるのは、素材の寿命です

今をきれいに見えることよりも、
10年後も素材が健全に呼吸できる状態を守ることが、
結果として資源消費を減らし、地球への負荷を下げます。

削る、溶かす、焼くといった不可逆的な方法は最後の手段であり、
水、温度、時間、摩擦、乾燥、換気といった物理的・自然的な力を最大限に活かします。

待つこと、浸透させること、環境条件を変えることで、
汚れは自ら構造を崩す場合が多いです。

また、調律ハウスケアは「殺菌」中心の思想から離れ、
微生物との共生を前提とします。

菌やカビは本来、環境を分解・循環させる存在であり、
問題は場所と量とバランスです。

湿度、換気、温度、表面の乾きやすさを整えることで、
異常繁殖は自然に収束していきます。

空間全体の条件設計こそが、持続的な清浄性を生むと思います。

空間は常に「流れ」で構成されています。

空気、風の流れ、水の流れ、人の動線、熱の移動、光の反射など。

汚れがとどまる場所は、これらの流れが滞る場所です。

掃除とは、詰まりを取り、流れを再び通す行為であり、
見えない構造を整える仕事でもあります。

単なる表面清掃では、根本的な回復は起こりません。

調律ハウスケアが目指す「きれい」とは、
無機質な無臭空間でも、過剰な除菌状態でもありません。

人が自然に呼吸ができ、素材が無理なく機能し、
空間が静かに安定している状態です。

新品の再現ではなく、
その場にとっての「ちょうど良い健全さ」を取り戻すことを目指します。
(ゴール地点)

この考え方は、掃除を単なる下請け作業から、
環境を読み、整え、回復させる知的技術へと引き上げます。

現場に立つ人間の感覚、観察力、判断力が価値の中心となり、
地球環境への配慮と人の健康を同時に守る実践へと繋がります。

『調律ハウスケア』とは、

「空間と人と自然の関係を再び調和させるための、新しい生活技術」

と言えるものではないでしょうか。


「日本磨き合い通心」とは
『日本を磨く会』が会員様向け(主に清掃業者様向け)に毎月発行している会報です。

弊社では、毎月原稿を協力しております。

ご興味のある方は、日本を磨く会HPをご覧下さい。